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マレーシア・サバ州の大きな祝日の過ごし方と注意事項

コタキナバル

マレーシアは州により祝日が異なります。民族の割合、宗教等により休みの取り方も異なります。

サバ州はイギリス進出によりカソリックの普及率が高く、マレーシアでは珍しいグッドフライデー(イースター)の祝日もあります。そのためイスラム国家マレーシアでありながら、キリスト教徒のお祝いの方が派手に感じます。

祝日によっては道の渋滞度合いや、店の休業など、生活に大きくかかわることもあるので、注意が必要です。サバ州の祝日の中でも町の動きが大きく変わる休みを紹介します。

チャイニーズニューイヤー(旧正月)

チャイニーズニューイヤー

チャイニーズニューイヤーの街の様子

華人最大のお祝い、中国暦の正月です。世界各地で祝われる旧正月は、サバでも大きな祝日の1つです。

1月1日、新年を迎えたと同時に街はチャイニーズニューイヤーの雰囲気が漂います。街中はクリスマスの飾り付けから一転、旧正月の飾り付けに変わるのです。

年が明けたばかりなのに、また年末です。慣れるまでは時差ボケの気分でした。年末の慌ただしさは同じで、店も道も混み合います。常に時間の余裕を持っておくと慌てずに済みます。

旧正月前後の注意点

チャイニーズニューイヤー

中国暦を太陽暦に当てはめると新年の日付は毎年異なりますが、その前日はもちろん大晦日です。大晦日は店も早々に閉まり休みに入ります。

働いている人がマレー人でもオーナーが華人だと休みになってしまうことがあるので気をつけましょう。家の修理なども休み明けの手配になると思っていた方が良いです。

カレンダーの祝日は2日間ですが、学校は1〜2週間の連休、中華系の店も同様に1週間は閉まります。良く行く店ならば営業日を聞いておく必要があります。1ヶ月程度の長期休暇をとって海外旅行に行く人も多いです。

中国のお年玉

既婚者は子供や独身の人にお年玉をあげる習慣があります。「紅包」と言い、北京語では「ホンパオ」と呼びますが、ここでは福建語の「アンパオ」という呼び方になります。

中身は死をイメージする4を避けますが、MYR2やMYR10と偶数の金額が良いとされ、関係によって金額も変わります。

赤い袋に入れて渡しますが、この時期になると買い物をすると付いてきますし、文具店で購入できます。銀行には新札に取り替えてくれる専用窓口ができるほどです。

挨拶程度しかしたことがない、となりの住人から思いがけずに紅包をもらったこともありますが、日本のお年玉とは意味合いが異なり、これは「幸せのおすそ分け」なのです。断ると失礼にあたるので、ありがたく頂戴しましょう。

福を呼ぶライオンダンス

ライオンダンス

チャイニーズニューイヤーといえば「龍舞」です。

龍舞はマレーシアでは「ライオンダンス」と呼びます。確かに獅子なので英語にしたらライオンなのですが、迫力ある獅子舞の名前がライオンダンスだと幼稚園のお遊戯のようなイメージで拍子抜けしました。名前はかわいくても迫力あるダンスです。

年末から年明け1ヶ月間ほど、イヤと言うほどあちこちで耳にしたり見られます。被り物を被って雑技を行うので、初めて見た時はヒヤヒヤしました。チームによって技の難度が違うので、何度見ても楽しめますよ。

観光客向けにショーとしてショッピングモールでも行われます。

オープンハウスは赤い福で

タイコ

旧正月と言えば赤色です!赤い服を着て出かけました。が、意外にもみなさん普通の装いでした。それでも赤い服を着ていくと喜ばれます。

一般宅ではなく公の場では赤や金、黄色の服が良いでしょう。この三色のどれかであれば外れませんが、その年のラッキーカラーは占い師が決め発表するのだそうです。

また、みかんを持って行くと喜ばれるそうです。みかんの柑は金と発音が似ているためだそうです。どこまでもお金に絡みますね。みかんはマレーシアでは採れませんが、時期に合わせて台湾や韓国、中国から輸入されてくるので、スーパーで山積みになっています。

サバ州最大のお祭り「カアマタン」

カアマタン

カアマタンとは?

サバ州最大のお祭りです。カアマタンとは古くから住む農耕民族の「カザダン・ドゥスン族」の収穫祭で、コメの精霊に感謝を捧げる日なのです。

現在、サバ州各地に散らばっているカザダン・ドゥスン族ですが、それぞれの地域で収穫を祝ったお祝いを5月の1ヶ月間に渡り行います。

そしてこのお祝いのファイナルが、カザダン・ドゥスン族のお膝元KDCA(Kazadan Dusun Curtuer Assosiation)で2日間かけて行われるお祭り「カアマタン」です。

英語でハーベスト・フェスティバルと呼ばれ、現在は海外からの観光客にも人気があるお祭りになっています。

そしてカザダン・ドゥスン族の祝いといえば豚の丸焼きです。所狭しと並ぶ屋台には豚マンや串刺しにした豚サテーと豚尽くしでした。

カアマタンは毎年5月30日、31日

カアマタン

KDCAにたくさんの人が集まり、食べて呑んでのお祭りです。あちこちで音楽が流れる中、カラオケ大会も行われ、それはもうドンチャン騒ぎです。もちろんこの近郊は終日大渋滞です。前日までに買い物は済ませておきましょう。

この2日間、KDCAは人で溢れています。人の多さにまず驚きます。車を停める場所を探すのも一苦労で、中央分離帯、路肩は車のセールス会場のようなありさまです。自家用車があってもこの日はタクシーで行く方がスムーズですよ。

カザダン・ドゥスン族の人たちは皆正装しており、異空間に来たような感覚になりました。

カザダン・ドゥスンの宗教観

カザダン・ドゥスン

多くのカザダン・ドゥスンがカソリックやイスラム教徒を信仰している現代ですが、収穫祭では「ボボヒザン」と呼ばれる女性のシャーマンが、米の精霊を呼び戻して豊作への感謝を捧げる儀式が執り行われます。

混血も進んでおり、自分達の民族をどのくらい意識しているかには差があるように感じます。貧しい村ではお金で買収されイスラム教に改宗することもあるようです。あえて豚を前面に出して食べるのは、イスラム教徒には改宗しないぞ!という意思の表れのように感じました。

カアマタン最大のイベント

行進

お祭りの目玉は美女コンテストです。各集落で選ばれた美女がKDCAで開かれる美女コンテストに出場し、2日かけて行われるコンテストでその年のミスカアマタンが決まります

確かに、ドゥスンの女性はとても美しい人が多いです。でも、この美女コンテストは美しさだけではなく、英語のスピーチとドゥスン語のスピーチも審査対象なのだそうです。2日かけて行われるコンテストは、1日目が私服、2日間が民族衣装で出場します。

マレーシアは現在プミプトラ政策により、マレー語を第1言語として教育されているので、ドゥスン語が学べる場所は家庭のみです。この美女コンテストはカザダン・ドゥスン族としてのアイデンティティの礎になっているように感じました。

ハリラヤ ・プアサ

モスク

ハリラヤ プアサは何を祝う日か

約1ヶ月に渡る断食(プアサ)はサバ州に住むイスラム教徒も行います。この間、日の出から日の入りまで何も口にしません

そのため、陽が昇る前に起きて朝食をとり、夕方6時半の日の入り後に夕食を食べるのです。ハリラヤ プアサはその辛い断食が終わったことを祝うものです。

基本は親族で祝うものなので、大きなイベントのようなものはありませんが、オープンハウスといって自宅に友人を招く風習があります。スルタンと呼ばれる王様の邸宅は一般開放されて、ご馳走がふるまわれます。

ムスリムの女性は肌を出してはいけないので、オープンハウスへはムスリムの服を着て行きましたが、意外にもノースリーブの服装で来ていた方もいてびっくりしました。

こういうところに寛容なのは、多宗教国家ならではの光景だと思います。こういう場所に相手に合わせた服装をするのは、いかにも日本人なのかも知れませんね。

ムスリムカラーは緑色

ムスリムカラー

イスラム教徒のお祝いの色は緑色で、旧正月と同じように親族にお年玉を配ります。旧正月同様に袋はあちこちで売られていますし、買い物をすると付いてきます。ただ、チャイニーズニューイヤーと意味合いは異なるので、異教徒から渡すことは少ないです。

招待されたオープンハウスには、籠詰めの果物を持参しました。贈り物は籠詰めにされています。お店に緑のリボンでラッピングされた品々がたくさん並びます。

しかし、服装は緑色にこだわりません。家族でカラーを揃え、新調するようです。

1日断食を体験してみました

食べ物

私もラマダンの最終日に1日だけ断食をしてみました。1日何も口にしないでいると、半日をすぎた頃から血糖値が下がっているのが自分でも分かり、夜は甘いものばかり食べていました。

ムスリムの友人に話したところ、それは急激に血糖値を上げるので1番体に良くない食べ方で、彼らは日没後にまずデーツ(ナツメヤシの実)で糖分を補うのだそうです。

この経験で、ラマダンが明けたら甘いお菓子を食べたくなる気持ちが良く分かりました。これを1カ月続けているムスリムの人達は本当にすごいです。

クリスマス

クリスマス

意外にも派手なクリスマス

年末のクリスマス、イスラム国家でのクリスマスはきっと寂しいのだろうなと思いきや、ハロウィンとヒンディーの正月であるディーパバリが終わると、店にはクリスマスソングが鳴り響き、大きなクリスマスツリーが飾られます

コンドミニアムによってはエントランスに飾られているところもあります。

ショッピングモールもこの通りクリスマス一色。コタキナバル市内はイルミネーションで彩られ、とてもきれいですよ。

クリスマス

驚いたクリスマスの光景

教会や各家庭でクリスマスパーティも行われます。しかしイスラム教徒はクリスマスは祝いませんので、厳格な人は12月中頃を過ぎたらリゾート地には出向かないそうです。

キリスト教徒が休みをとるので、多くのムスリムの人は働いています。そんな中、中華系オーナーの店でムスリムの従業員がスカーフの上からサンタ帽を被って働く姿をよく見かけます。

国によっては人権侵害にあたりそうな光景でとても驚きました。もちろん被らない人もいるので、信仰度合いにもよるのでしょうが、こういうことが許されるのもサバ州ならではなのでしょう。

クリスマスシーズンの街の様子

11月末からスクールホリデーに入り、旅行や田舎に出かける人がほとんどです。いつも渋滞する道は、ウソのように空いています。

その代わりショッピングモールは大混雑。1年で1番大きい「メガセール」中なので、駐車場は見つからないし、レジは長蛇の列です。これも12月25日を過ぎるとひと段落します。そして年明けの新学期に備えるのです。

マレーシア人にとっての新年は「普通の日だ」と言われ、「気持ちを新たに」と思う日本人の感覚とは大きく異なるようです。

まとめ

マレーシアの子供

この他にもヒンディーのお祭りディーパバリ、メッカ巡礼のハリラヤ ・ハジ、国王の誕生日、王妃の誕生日、独立記念など祝日がたくさんあります。

面白いのが州知事の誕生日が祝日になること。これはマレーシア他州でも同様にあります。今日が何の休みなのかわからなくなるほど祝日だらけです。

日本と比較すると、かなり不便な祝日ですが、「祝日だから仕方ない」と割り切れたら、あなたも立派なマレーシア人です。

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マレーシア生活・就職HACK編集部
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