世界最大の花「ラフレシア」一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この花は東南アジアにしか咲かず、つぼみの期間が9カ月間から1年という長い期間なのに対し、花が咲いたら4日から7日で枯れてしまう幻の花です。
開花時期がバラバラで桜のような見ごろもわかりませんし、いつ咲くのか予想がむずかしいのです。ボルネオ島のコタキナバル周辺で、ラフレシアが見られる可能性が高い場所をご紹介します。
※MYR1=約27円
コタキナバル近郊で見られるラフレシア
ラフレシアとは
一口でラフレシアと言っても世界にはなんと22種類のラフレシアがあります。種類により大きさも異なり、小さいもので15cm、大きいものだと1m近くに達します。
ラフレシアの中で最も大きな花を咲かすのが「ラフレシアアルノルディ(Rafflesia arnoldii)」で、日本で一般的にラフレシアと呼ばれているものはこの花を指します。
コタキナバル近郊で見られるもの
残念ながらボルネオ島北部に位置するサバ州でアルノルディは見られませんが、ラフレシアケティ(Rafflesia keithii)、 ラフレシア・テングゥ-アドリンィ(Rafflesia tengku-adlinii)、ラフレシアプリケイ(Rafflesia pricei)の3種は確認されています。
特徴
めずらしいのは大きさだけではなく不思議な花の形態で、茎も葉も根も持たないのです。この花はブドウ科の植物のツルから栄養をとって咲きます。ツルに寄生するので、まれに木の上に咲く花もあるのだそうです。
よく食虫植物とまちがわれますが、ラフレシアは全寄生植物で枯れる時に腐肉の臭いでハエなどをおびきよせて受粉するといわれています。しかし無性生殖も可能なようでその生態は明らかになっていません。
すべてのラフレシアが臭いわけではなく、悪臭を放つのはラフレシアアルノディです。そのためサバ州に咲くラフレシアは臭わない種類に該当します。花は新しいものほど色あざやかで、日が経つにつれ黒ずんできます。
とてもデリケートで、つぼみはすこし動かしても咲かなくなってしまうため注意しましょう。
コタキナバルでラフレシアの咲く場所
おもに標高300-1,300mあたりで見ることができ、種類によって咲く場所もちがいます。
ラフレシア・ケティは標高260-940m、ラフレシア・テングゥ-アドリンィが700-800m、ラフレシア・プリケイは最も標高の高い800-1,300mと1,000m近い差があります。
サバ州でラフレシアが見られる確率が高い場所としておすすめなのは、キナバル国立公園のポーリン温泉付近、クロッカー山脈にあるラフレシアインフォメーションセンター、マフアの森です。
もちろんここ以外にもありますが、この3カ所はサバ州州都・コタキナバルから日帰りでも行ける距離にあり、ラフレシアまでのガイドがいるので比較的楽に見られる場所なのです。
キナバル国立公園のポーリン温泉付近でラフレシアを探す
コタキナバルから車で3時間、太平洋戦争のときボルネオ島を占領していた大日本帝国軍によって採掘された温泉がある町です。ポーリンとは土着民族であるカザダンドゥスンの言葉で竹を意味し、その名の通り温泉は竹やぶに囲まれています。
温泉までの道沿いにラフレシアの看板が出ており、私有地に咲いたラフレシアに案内してくれる目印です。中には観光用にきれいに歩きやすく整備されている場所もありました。
また、近くの露店店主やアルバイトらしきお兄さんがラフレシアまで歩いてガイドをしてくれます。ただし有料です。ポーリンの相場は大人1人MYR20=600円程度、子ども1人MYR5=150円くらいです。
ポーリン温泉観光ツアーのプランとして、大型観光バスがこの山中に停車して散策できるようになっているものもあります。
ツアー参加者に聞いた話では、ラフレシアが咲いている保証がないため、バスから看板を見つけたら希望者だけ降車して別料金で見るのだそうです。
私はポーリンには何度か訪れ、いつもラフレシアをチェックしていますが、必ずどこかしらで咲いていました。花は柵などで囲われているところがほとんどで、さわることはできません。
ポーリンならば国立公園内でキャノピーウォークやトレッキングを体験したり、温泉にも入れるので、万が一ラフレシアが見られなくても楽しんで帰れます。
ポーリン温泉基本情報
- 名称:ポーリン温泉(Poring Hot Spring & Nature Reserve)
- 住所:83900 Ranau Sabah
- 電話番号:(60)88-878 801
- 開園時間:午前8時から午後6時
クロッカー山脈のラフレシアインフォメーションセンターで探す
クロッカー山脈と呼ばれる山にラフレシアインフォメーションセンターがあります。ラフレシアを見れるおすすめ3カ所の中ではコタキナバルから一番近く、車で1時間30分ほどの距離です。
ここの魅力は、森林局のフェイスブックページからラフレシアが咲いているかどうか事前確認できることです。
開花の予想となるとやはりむずかしく、来週あたりに咲きそうだ程度の予想しかできないとのことでした。
そして、ここに行くにはタクシーを使うかレンタカーになります。現地からタクシーをひろえたり呼べる場所ではないので、タクシーは往復の値段交渉をしましょう。
ラフレシアインフォメーションセンターの入園は無料ですが、花を見るトレッキングのガイド料はMYR100=約3,000円ほどかかります。トレッキングルートはかなり広く、遠くまで歩く可能性もあるため履きなれた靴や虫よけなど用意してください。
ラフレシアインフォメーションセンター基本情報
- 名称:ラフレシアインフォメーションセンター(Rafflesia Information Centre)
- 住所:500,89650 Tambunan Sabah
- 電話番号:(60)88-899-589
- 開園時間:午前8時から午後3時
クロッカー山脈の国立公園「マフアの森」で探す
ラフレシアインフォメーションセンターからさらに車で1時間ほど走ると、タンブナンという町に出ます。ここに国立公園に指定されているマフアの森があり、その近辺でも見られます。
マフアの森には一度も伐採されたことのない古い木がたくさんあります。高さ50mの木があちらこちらに立っているのです。
自然豊かなボルネオですが、自然のままの熱帯雨林が残っている場所はあまり多くありません。キナバル公園やポーリンよりも木々が生い茂っており、ジャングルレベルは高いです。原生林に興味がある方はおすすめです。
チケットカウンターから森を歩くこと10分、17mの高さがある滝があります。マフアの滝です。滝つぼには足の角質を食べてくれるドクターフィッシュがいるようですが、水の冷たさに負け足を入れられませんでした。
ここは外国人観光客は少ないですがマレーシア人には人気の観光スポットです。
その森の中でラフレシアが見られる可能性があります。滝の入り口にあるチケットカウンターでラフレシアが咲いているか聞いてみましょう。窓口の人からは提示してくれませんし特に案内もないので、こちらから聞かないとわかりません。
運良く咲いていたらガイドをつけて案内してくれます。もちろんここも有料です。
値段は外国人とマレーシア人と異なるのですが、私はマレーシア人と間違われたらしく、ローカル価格のMYR5=150円ほどでした。外国人だとおそらくMYR10=300円くらいだろうと予測します。
さすがは熱帯雨林のジャングル、急こうばいな山道を登ること15分、ラフレシアに出会えました。私が登ったのは上の写真の掲示板の裏側斜面です。
柵も囲いもなく足元にラフレシアが咲いています。下から支えて持つように触らせてもらえました。作り物のようにガッチリと硬い花びらです。臭いも嗅いでみましたが確かに臭くありません。
この日はちょうどとなりにつぼみがありました。このつぼみがいつ咲くのかは、ここに住む人でもよくわからないそうです。
マフアの滝基本情報
- 名称:マフアの滝(mahua water fall)
- 住所:89650 Tambnan Sabah
- 電話番号:(60)839-4055
- 開園時間:午前8時から午後5時
まとめ
ラフレシアのガイドは地元の人で、学者や研究者ではないため、花の種類や特徴など詳しいことを教えてくれるわけではありません。ただ咲いている場所の案内だけで、花の場所まで案内するとさっさと帰ってしまう人もいます。
興味のある人は事前に調べて行くとさらなる発見があって面白いでしょう。