2014年2月に夫がマレーシアの公立小学校5校の英語教師指導係として採用され、私はマレーシアのマランという町で2年間暮らすことになりました。マランは首都クアラルンプールから北東へ車で2時間ほどの距離にある小さな町です。
物価が安く安全なマレーシアは、日本でも移住先として大人気。ミュージシャンのGacktさんがクアラルンプールの豪邸に暮らしているのは有名な話ですよね。
しかし、日本に流れてくるのはクアラルンプールという大都市の情報ばかり。今回は、都会と異なる田舎の暮らしをご紹介します。
※1リンギット=約25円
夫の勤務スタイルに適した立地
現地の英語教師を指導する立場の夫は、担当する5つの小学校にローテーションで通わなくてはなりませんでした。そこで夫の勤務先のマレーシア人スタッフが、すべての小学校に20分程度で行ける家を探してきてくれました。
家から町の中心地までは歩いて10分程度。中心地にあるのはスーパーマーケット、マレーシア版100円ショップ「Ten Ten」、携帯電話ショップ、バイクショップ、そしてレストラン2件のみ。必要最小限ではありますが、日々の生活はこれで事足ります。
私が楽しみにしていたのは、毎週金曜日に中心地で開催されるナイトマーケット。マランが誇る新鮮なフライドチキン(その日にシメた鶏)やココナッツジュース、焼きトウモロコシなどを堪能しました。
破格の家賃
1か月の家賃は3LDKで600リンギット(約15,700円)でした。クアラルンプールから北に行けば行くほど家賃は安くなる傾向にあり、600リンギットは平均的な価格といえます。
私たちは家賃に加え、月々の水道代、ガス代、電気代を合わせて約150リンギット(約3,900円)程度を支払っていました。
マレーシアに敷金の習慣はなく、私たちは毎月600リンギットを封筒にも入れずそのまま大家さんに渡していました。ただ、トラブルを避けるために領収書は毎回書いてもらっていました。
家の特徴
家具も壁紙も造花も、全部カラフル
マレーシア人は鮮やかな色が大好きです。我が家の壁紙は、キッチンと居間がレモンイエロー、寝室がスカイブルーでした。備え付けのソファやクッションも、いかにも南国らしい雰囲気の、赤やピンクを基調とした鮮やかな色合いのものばかり。
そしてマレーシア人が特に好むのが、これまた鮮やかな色合いの造花。
入居した直後は玄関やテーブルなどあらゆる場所にホコリをかぶった造花が飾ってありましたが、アレルギー性鼻炎の私はくしゃみが止まらず、すべて押し入れの中にしまってしまいました。
メッカの方向を教えてくれる「KIBLAT」
家の天井には、KIBLAT という文字が矢印とともに記されていました。KIBLAT は、メッカの方向はこちらという意味です。1日5回メッカに向かって祈りをささげるムスリムにとって、なくてはならないものなのです。
マランは住民の9割がムスリムなので、レストランやスーパーなどあらゆる場所でこの KIBLAT を見かけました。
田舎ならではのトラブル
虫嫌い・動物嫌いの人は注意!
高温多湿のマランでは、虫の種類もその数も、想像を絶するレベルです。アリ、ゴキブリ、ネズミは特大サイズ。蚊の勢いもすさまじく、虫よけスプレーをしていないと服の上からでも刺されてしまいます。
そして、いかにも東南アジアらしいのがヤモリ。家の中に入ってきて、そこら中にフンをまき散らします。
朝スムージーを作ろうした時にブレンダーの中にヤモリを発見した際には、びっくりして一気に目が覚めました。もちろん、しっかりとブレンダーの中にフンを残してくれていました……。
シャワーは冷水
マランの人たちは皆、冷水シャワーでお風呂をすませます。最初は、冷水じゃリラックスできないと思いましたが、何しろ毎日暑いので、すぐに苦にならなくなりました。どうしても熱いシャワーを浴びたい場合は、温水器の購入が可能です。
停電は月に1回ペース
マレーシアの田舎に住むなら、すぐ出せる場所に懐中電灯を置いておくこと、そしてできる限りスマホやパソコンの充電をしておくことが大切です。
月1回ペースの停電の際は、本当に真っ暗で何も見えなくなりますし、6時間くらい続くこともザラです。
インターネットが不安定
在宅で仕事をする私にとって安定したネット環境は不可欠ですが、マランでは町全体でインターネットが使えなくなることがしばしばありました。大雨や洪水の際は特に要注意です。
マランの人たちには、何が何でもネットが必要!という切羽詰まった状況が理解できません。だから私は常に天気予報をチェックして、仕事に穴を空けないよう余裕を持ったスケジューリングをしていました。
まとめ~マレーシアの田舎暮らしはサバイバルで刺激的
国際都市クアラルンプールと田舎町では、まったく趣きが異なります。虫嫌いで便利な都会育ちの私にとって、マランでの暮らしは「サバイバル」でした。と同時に、町の人たちの純粋さやたくましさに感心しっぱなしの日々でもありました。
田舎暮らしだと生活費が最小限に抑えられます。都会暮らしに疲れた方、冒険好きの方、異文化にどっぷり浸ってみたい方。機会があれば、ぜひ刺激的なマレーシアの田舎暮らしを体験してみてくださいね。