マレーシア全土にあるクダイコピと呼ばれる飲食店は、オープンな空間にあるお店です。場所によっては1つの空間を3店舗4店舗が共有していて、客は好きなものを注文しそれぞれの店に払う形式になってます。
もちろん、食事に行っても日本のように水なんて出てきません。ドリンクを頼もうとメニューを見ても、写真などありませんし読めても何を指してるのか分からない、まるで暗号のような文字が並んでいます。
他の州では通用しないサバ特有の言い方もあります。今回はドリンクの注文方法をご紹介します。
ホット、アイスの注文方法
クダイコピでも飲み物には暖かいものと冷たいものがあります。冷たいものと言っても冷やされているわけではなく、暖かく作ったものに氷を入れているので、ストローで下から飲むと暖かいです。
ストローやマドラーでかき回してから飲むか、上の方から飲みましょう。注文は英語で通じるところがほとんどですが、注文をメモしない店が多く、間違えて出てくることもしばしばあります。
ホット、アイスの単語
マレー語も覚えておくと便利です。 暖かいものは英語ではhot(ホット)、マレー語ではpanas(パナス)と言います。冷たいものはice(アイス)、マレー語はsujuk(スジュ)なのですが、サバではなんとbing(ビン)という、また違う単語を使います。
中国語の「冷たい」という意味である「冰」(bīng)をそのまま使っています。メニューに書かれる場合、pingと記載されていますが、口語はbingで通じます。 私はこの単語を西マレーシアでもうっかり使ってしまいますが、これはボルネオ島のサバ州でしか通じません。
逆にサバでsujukと注文すると、bingで良いか、と聞き返されたことがありました。 同様に「持ち帰り」のtake a wayも中国語の「打包」を使い、これもサバ州のみで通じます。
発音は「打」が少し短くなり「ダパオ」で通じます。難しい中国語の声調である四声は考えずカタカナ読みで通じます。飲み物の持ち帰りも「ダパオ」になります。
主なドリンクメニュー
チャイニーズティ(Chinese tea)
なぜかサバではどこでも飲めるチャイニーズティ、不思議とインド系の店でもマレー系の店でも必ずあります。店により茶葉は違うようでチャイニーズティーの定義はなさそうですが、ほとんどの店が烏龍やプーアルのような茶葉を煮出したお茶です。
高級店のような良い茶葉は使われていませんが、さっぱりしていて何の料理にも合います。西マレーシアでは飲めても中華系のお店のみで、菊茶が多いです。
平均値段はホットで50sen、アイスで80sen(senはMYRの下の単位)で、日本円にすると20円程度で1番リーズナブルです。
キッチャイ(kicai)
ライムのような酸味のあるキッチャイと甘い梅が入った飲み物です。暑い中歩いた後はさっぱりして最高です。しかし砂糖もたっぷり入っているので要注意です。
甘さを抑えたい時はkerang manis(クランマニス)、砂糖ゼロにしたい時はkosong(コソン)と言いましょう。
リマオ(Rimao)
こちらもライムの一種ですが、キッチャイよりは少し大きい形をしています。ピンポン玉くらいのまん丸いフルーツです。「アイル(水)リマオ」と言うと写真のようにリマオだけ入ってきます。
リマオと頼むとキッチャイにも入っている甘い梅干しが入っています。ちなみに、マレー語で水を意味するアイルですが、冷たい訳ではありません。「冷たい」をつけないと暖かいリマオが出てきます。
こちらもサッパリしますがやはり砂糖たっぷりです。砂糖が不要な場合は注文時に伝えましょう。
写真は持ち帰り用にしたものです。ホットを注文しましたがなぜかストローが付いてきました。
ネスカフェ(Nescafé)
ネスカフェもしくはネスロ(Nesro)は日本でいうインスタントコーヒーです。どちらも同じものを指します。
東南アジアのコーヒーは淹れ方が異なりますし味も独特なので、日本で飲むコーヒーの方が良い場合はこちらを注文すると良いでしょう。お店によってはスティックのインスタントを使用してる場合もあります。
コピ(copi)
ローカルのコーヒーを指します。サバではほとんどが州内のテノムという土地で採れたコーヒー豆の、テノムコピになります。コーヒーの砂糖あり、なし、ミルクあり、なし、にそれぞれ名前が付いています。
- copiO(コピオー)砂糖だけ入っている
- copiC(コピシー)コンデンスミルクが入っている
- copi kosong(コピコソン)何も入っていない
コピもkerang manis(クランマニス)で甘さの調節ができます。OやCが何の省略なのかハッキリと分かりませんが、中国語から来ているそうです。
広東語の「走糖」(zou tang)は砂糖を入れずにコンデンスミルクを入れてほしい時に使うのですが、これが変化したのではないかと推測します。
テ(te)
発音で分かる通り紅茶です。サバはサバティーが有名ですが、メニューにサバティーと書かれている店は滅多にありません。teを頼むと8割がサバティーです。まろやかで茶葉の渋みが全くないため、小さな子どもでも飲みやすいです。
普通に注文すると「te bing」「te panas」ですが砂糖やコンデンスミルクが入ってきますので、こちらもkerang manis(クランマニス)、kosong(コソン)で調節しましょう。
注文方法はコーヒーと同じで、
- teO(テ・オー)砂糖が入っている
- teC(テ・シー)コンデンスミルクが入っている copiがteに変わるだけです。
te C special(テ・シー・スペシャル)
te C special(テ・シー・スペシャル)は三層からなる甘い紅茶で、コンデンスミルクがたっぷり沈んでいます。甘いのが好きな方におすすめです。下の写真は一番下にコーヒーが入っています。
紅茶とコーヒーのミックスですが、テ・シー・スペシャルはあってもコピ・シー・スペシャルという飲み物はありません。
テ・タレッ(te Tarik)
マレーシアではどこでも飲めるテ・タレッはインドのチャイのように2つの容器間を何度も移し替え、泡だてた紅茶です。無条件でコンデンスミルクが入っていて、テ・タレッに関してはOもCもありません。
tarik(タレッ)という単語には本来引っ張るという意味があり、よくお店のドアにも書かれています。チャイのように飲むのでインド系オーナーの店が美味しいです。
サバは作ってる人もローカル(原住民)やマレー系の人が多く、そのためか半島のテ・タレッほど濃厚ではありません。「タレッ」と記載しましたが、カタカナ読みで書くと「タリック」です。最後のKを発音しないため、口語をカタカナ表記すると「タレッ」が近いように感じます。
メニューになくても基本的な作り方が同じなので、テ・タレッが飲めるお店ならばコピ・タレッも頼めます。
マドラス(madoras)
店主に違いを説明してもらいましたが、テ・タレッやコピ・タレとの違いが明確には分からないのがマドラスです。マドラスの作り方はミルク(コンデンスミルク)をテ・タレと同様にTarik(引っ張る)し、コーヒーを入れるという説明でした。
かなり甘いのでご注意下さい テ・タレッやコピ・タレッとの違いは、ミルクが多く、混ぜられていないことです。
現在のインドのチェンナイは、かつて「マドラス」と呼ばれていました。マドラスという名前はそこから来ているのではないでしょうか。
コピはマレーシア、マドラスはインド、ビンは中国、まさに文化が混ざり合っていることが象徴される名前ですね。写真はコピ・マドラス・ビンです。
コピ・マドラス、テ・タレ・マドラス、コピ・タレ・マドラスはあるけれど、テ・マドラスやネスカフェ・マドラスというものはない、と説明されました。 メニューに書かれていない店も多いので、これを頼むと少しツウになった気分になれますよ。
ミロ(milo)
日本でもお馴染みのミロはマレーシアの子ども達が大好きな飲み物です。ただし読み方は「ミロ」ではなく「マイロ」です。ミロと注文しても通じないので気をつけましょう。
缶やパックで出される事が多いです。ミロに限らず缶の飲み物は、倉庫内でネズミがその上を走っている可能性があるそうなので必ずストローで飲みましょう。
ミネラルウォーターとドリンキングウォーター(air mineral/drinking water)
air(アイル)は水です。ミネラルウォーターでペットボトルで出てきます。水は常温か冷蔵されているものを選べて、1.5リットルと500ミリリットルの2種類おいている事がほとんどです。
また、メニューにありませんが飲み水を頼む事もできます。水道水を煮沸したもので、ぬるま湯か熱いお湯で出てきます。
まとめ
以上がどの店に行っても大抵は飲めるものです。席に着こうとすると即座に店員が「飲み物は?」と聞きに来ますし、店によってはメニューもないので覚えておくと便利です。
メニューにあるこれ以外の飲み物は、スティック状インスタント飲料の商品名であったり、市販の炭酸飲料、ジュースです。値段も安く、フラッと入れるのがクダイコピの利点です。
町歩きをしながら色々なメニューを楽しんでください。