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マレーシアのボルネオ島、サバ州の民族「カザダン・ドゥスン族」を知ろう

民族衣装

ボルネオ島・サバ州が、1963年にマレーシア国となる以前は、英保護国北ボルネオ会社の管理下にありました。それよりもはるか昔から、サバの地域に暮らしていた原住民族が「カザダン・ドゥスン族」です。

多国籍なマレーシアですが、サバ州には人口の3割を占める「カザダン・ドゥスン族」が暮らしています。サバ州では、そんな原住民の紹介や当地の見どころを、ショッピングモール内で観光客向けに紹介していることもあります。

今回は、コタキナバル近郊で「カザダン・ドゥスン族」について知ることができる施設を紹介します。

カザダン・ドゥスン族とは

民族衣装

「カザダン・ドゥスン族」とひとまとめに書かれることが多いですが、彼らの中ではハッキリと区分けされています。

元が同じ民族なので、見た目の違いは良く分かりません。サバ州には細かく分けると31種族の民族がおり、そのほとんどは元々ドゥスン族だったと言われています。

山に住んでいたドゥスン族の中から町に下りてきた人の事をカザダン族と呼びます。彼らの中にはカザダン族は都会っ子、ドゥスン族は田舎者的なニュアンスもあるようですが、本人に聞かないとルーツは分からず、外国人の私たちからしたら呼ばれ方の違い程度です。

今でも山に住む原住民のことを「オラン・アスリ」と呼びます。山を降り、あちこちの地域で子孫を増やした民族は、暮らしぶりも様々です。

ハンドクラフト

「カザダン・ドゥスン族」は、もともと農耕民族で小柄、竹で作った家に住んでいました。民族楽器はインドネシアのガムランと近いですが、その踊りは農耕民族だからか、日本の盆踊りとそう遠くないように感じました。

竹馬やポックリなど、日本でも馴染みのある遊びをしていました。習慣だけでなく、その性格も控えめで日本人に近い印象があります。

サバ州が私たち日本人にも暮らしやすい地だと感じるのは、日本人に似た民族が多いことも関係しているかも知れません。

サバ州立博物館で知る

サバ州立博物館

サバ州立博物館では、ボルネオの自然や動物、民族、文化が展示されている建物と、その奥にはかつて走っていたサバ州立鉄道の蒸気機関車が展示されています。

館内では、民族の生活の様子や道具を見ることができます。博物館を通り抜け右手の茂みに入ると、サバカルチャービレッジと書かれた看板があります。そこを道なりに進んで行き、吊り橋を渡ると昔の家々が見えてきます。

吊り橋

Phase1は、池のほとりに家が7軒建っており、生活の雰囲気をかもし出していました。よそではお目にかかれない少数派のブルネイ族とハッカ族の家もあります。

家

さらに奥に進み、ひと山越えるとphase2です。13軒の家々が再現されています。家は、基本的に高床式で、木や竹を使って作られますが、その土地の気候などにより、使われる木や屋根の葉、竹の向き、窓の作りなど全て異なっていました。

島を2分しているインドネシアに近い南の地域の家は、風を通すためか壁がなく木枠だけです。住む場所の標高や気候によって家のつくりを工夫しているのがよく分かります。

観光施設のように行き届いた案内はありませんが、どの地域の家なのか地図表記があり、民族の奥深さを十分見ることができます。

家

サバ州という大きなくくりで見ることができるのでほかの民族と比較して見ることもできます。

行き方

コタキナバル市街地から3.7kmと近く、車で10分ほどです。歩ける距離ですが、交通量が多く歩道も確保されていないので、タクシーをおすすめします。タクシーならMYR(マレーシア・リンギット)15程度、携帯アプリで呼べるgrab taxiでMYR5前後です。

基本情報

  • 名称:サバ州率博物館
  • 住所:jalan muzium 88300 Kotakinabalu Sabah
  • 電話番号:088-225-033
  • 営業時間: 9:00~17:00
  • 入場料:外国人MYR15(12歳以下無料)、マレーシア人MYR2
  • ホームページ:http://www.museum.sabah.gov.my/

マリマリカルチャービレッジに行く

マリマリカルチャービレッジ

マリマリカルチャービレッジとは

コタキナバル市街地から車で約30分、キオンソンと言う村にある観光向けの文化村です。

ここでは、カザダン・ドゥスン族の他にも、ルングス族、ムルット族、バジャウ族などの家が再現されており、それぞれの民族を比較できます。ガイドの人たちもそれぞれの民族衣装を着ているので、直接民族について聞くことができます。

ドゥスン族のお米から作るお酒や、ルングス族の飼うハチからとったハチミツの試飲ができます。衛生面はきちんと管理されているので、安心して試せますよ。ムルット族の吹き矢などの体験もできるので、どんどん参加してみましょう。

観光地として人気があり、トイレなどの施設もきれいに整備清掃されています。ここは、サバの民族知識が全くなくても楽しめる観光施設になっています。

カザダン・ドゥスン族

完全予約のツアー概要

完全予約制で、時間は午前10時からと午後2時からの2回。以前は、午後4時からの回もあったようですが、現在はお休みしています。1グループ10名前後にガイドが1人付きます。

ガイドはスタッフが行なっており、英語かマレー語になります。旅行会社によっては日本語対応もしていますが、お値段は割高です。

1時間ほどかけて各民族の家をひと通り回ったら、ショータイムです。ここで飲み物のサービスがあります。暑い山の中を歩き回るので、とても嬉しいサービスです。

ショーでは、それぞれの民族の踊りを披露してくれます。見応えがあるのは、なんと言っても首狩り族のムルット族の踊り。ゲストが参加できたり、一緒に記念写真が撮れます。ショーとしてのクオリティーが高くて楽しめます

ショーの後は、午前10時の回ならランチ、午後2時の回ならハイティーが楽しめ、ブュッフェ形式のローカル料理が食べられます。

所用時間は、全部で2時間から2時間半程度。その日の観光客の数によっても前後します。ツアーの場合はさらにコタキナバルからの往復に1時間くらい時間を要します。

ツアー予約方法

コタキナバル市内にある、旅行会社のツアーで予約できます。ツアーの場合は宿泊先の送迎もあるので、旅行で来た場合はツアーが便利でお得です。

個人の場合は、レンタカーを借りるか、grabタクシーを利用するのが良いでしょう。しかし、山の中なので、携帯が圏外になる可能性があります。帰りのタクシーを呼ぶのに苦労するかも知れません。行きのドライバーに帰りの迎えを頼んでおくと安心です。

基本情報

  • 名称:マリマリカルチャービレッジ
  • 住所:Inanam 88450 Kotakinabalu Sabah
  • 電話番号:016-821-1875
  • 営業時間:10:00~18:00
  • 定休日:なし
  • 入場料:大人MYR98/子供MYR86
  • ホームページ:http://sabahgetaway.com/mari-mari-cultural-village/

※上記料金はサイトから直接予約した場合です。ツアー会社を通すと値段は変わりますのでご注意下さい。MYR200くらいが相場のようです。ホテルによっては割引が効いたり、旅行会社によっては別のツアーと併せているものもあります。

モンソピアドで歴史に触れる

肖像

モンソピアド文化村とは

約300年前に実在した英雄、「モンソピアド」を記念して作られた文化村です。カザダン・ドゥスン族のお膝元と言われるドンゴゴンという場所にあり、コタキナバル市内から車で30分ほどの場所です。ここでは、歴史的価値のある貴重な品々が見られます

観光客のためというより、重要文化財としての意味合いが大きいので、至れり尽くせりの説明はありません。カザダン・ドゥスン族について少し予備知識があった方が、質問もできてより楽しめます。

カザダン・ドゥスン族の民族舞踊も見られます。マリマリカルチャービレッジのように、観光客向けに演出したものではありませんが、素朴なその土地の踊りです。

見どころ

モンソピアド文化村

庭の真ん中には、コタキナバル近郊の島「ガヤ島」から実際に運んだ、重さ7トンの岩が祀られています。

これは、疫病が流行った時に、シャーマンと呼ばれる女性霊媒師から「ガヤ島から岩を運んでくれば疫病の蔓延が治る」といったお告げがあり、精霊の力を借りて運んだものと言われています。

また、道路を挟んだ建物には、モンソピアドが実際に首を刈った42個の頭蓋骨が祀られており、シャーマンの衣装やモンソピアドが戦った盾、剣のレプリカなどが飾られています。なぜ剣だけレプリカなのか聞いたところ、本物は気が強すぎるので展示できないのだそうです。

英語ガイドを頼むことができ、米を作る機械、火をおこす体験、昔ながらの遊び体験などができます。竹馬やココナッツの殻を使ったポックリなど、日本の昔の遊びと通じるところがありました。

また、カザダン・ドゥスン族の料理で有名な幼虫の飼育もしています。これは最高のタンパク源なのだそうです。

行き方

手軽に行くならタクシーの往復が便利です。だいたいMYR70程度です。grab taxiならば空いている時間帯でMYR11ほどです。帰りも現地からgrab taxiを呼べるので、この方法が1番便利です。

ドンゴゴン行きのローカルバスに乗り、モンソピアド行きのバスに乗り換える方法もあるようですが、この周辺でバスを見かけたことがないので、おすすめしません。

基本情報

  • 名称:モンソピアド文化村
  • 住所:Kg. Kuai/Kandazon, Penampang, P.O.Box 153 Tanjung Aru 89458, Kota Kinabalu, Sabah Malaysia
  • 電話:088-774337
  • 営業時間:10:00~19:00
  • 定休日:なし
  • 入場料:大人MYR98/子供MYR55
  • ホームページ:http://infomonsopiadcultu.wixsite.com

カザダン・ドゥスン・カルチャー・アソシエーション(KDCA)

カザダン・ドゥスン・カルチャー・アソシエーション

KDCAとは

カザダン・ドゥスン・カルチャー・アソシエーションと呼ばれる施設で、毎年5月末に行われる米の収穫祭「カアマタン」の会場です。31の異なる民族の楽器、家屋、道具、手芸品など、民族に関わる全てが展示されています。

カザダン・ドゥスン族とひと口に言っても、地域によって民族衣装やビーズアクセサリーの模様が違うので、違いを楽しむ見方ができますよ。

ダンス

民族衣装の基本カラーは黒地に金ですが、ノースリーブ、半袖、長袖の違いがありますし、男性が頭にかぶる帽子も各地で異なります。

大きなゴング(銅鑼)のレプリカや、農作業で使う竹で編まれた大きな籠が飾られています。象徴となる大かごですが、現在残っているのはこのKDCAに飾られているもののみだそうです。

行き方

タクシーが便利です。KDCAを知らない人はいませんし、駐車場も広いので待ってもらうこともできるでしょう。モンソピアドの近くで、さらにコタキナバル市街地に近い場所に位置しています。タクシードライバーと交渉して2ヶ所まわる方法がおすすめです。

基本情報

  • 名称:カザダン・ドゥスン・カルチャー・アソシエーション(KDCA)
  • 住所:4 1/2 Jalan Penampang W.D.T Penampang Sabaj
  • 電話番号:088-718-895
  • 営業時間:9:00〜16:00
  • 入場料:大人MYR45/子供MYR10
  • ホームページ:http://www.kdca.org.my/

現地でフルガイドも頼めます。KDCAに直接電話で予約可能。ツアーは案内と食事、ショーが含まれます。大人MYR120/子供MYR70

まとめー今を生きる民族ー

帽子

混血の進む昨今、チャイニーズ・ドゥスン族やチャイニーズ・カザダン族、強いてはジャパニーズ・ドゥスン族なる人たちもいます。

しかし、過去の話ではなく今この時もカザダン・ドゥスン族は、マレーシアという国家の中で生活し、単一民族の日本ではあまり意識しない自分のアイデンティティをしっかりと持っています

そして、マレーシア参入時にサバ州が取得した自治権で守られている民族でもあるのです。予備知識を持って来ると、よりサバが楽しめますよ。

※MYR1(マレーシア・リンギット)=2.7円(2019年1月)

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