マレーシアを走る鉄道の中で「マレー鉄道」と呼ばれているのが、KTMです。
今回はクアラルンプールからイポー2つ手前のカンパー間に乗りました。マレー鉄道(KTM ETS)の乗り方をご紹介します。
※1リンギット(MYR)=約27円
マレー鉄道(KTM ETS)とは
タイの首都バンコクからシンガポールを結ぶ鉄道ですが、一部は電化区間となり、エレクトリック・トレイン・サービス(Electric Train Service)略してETSと呼ばれています。
これにより、クアラルンプールと北に200km離れた都市イポー間の電車は、1日2本から8本以上に増えました。
クアラルンプールのマレー鉄道セントラル駅
東南アジア最大級の駅
マレーシア人はクアラルンプールを省略してケーエル(KL)と呼びます。KLにある東南アジア最大級の駅「KLセントラル」には、KTMだけで8路線、空港に直結するERL、KLモノレールとたくさんの電車が乗り入れています。
設計は黒川紀章氏
駅は商業施設とオフィスビルがあるニューセントラル(Nu Sentral)というビルに直結しています。
この建物は、黒川紀明氏が設計を担当したためか、案内表示に日本語もあります。日本語があると心強いですよね。
グランド・フロアから入場口へ
案内表示に従って、地上1階に出ましょう。ニューセントラルとは反対側です。
マレーシアで1階のことはグランド・フロアと呼びます。表記はGF、もしくはGです。ですので、1階はどこかと聞くと2階を案内されてしまうので気をつけてください。エレベーターも同様なので、GもしくはGFで降ります。
マレー鉄道KTM ETSチケットを買う
窓口で買う
イポーまでのような長距離はチケットカウンターでの購入になります。目立つ看板はありませんが、この辺りはKTM乗り場しかないので、カウンターもひとつです。
行き先と人数を告げると、番号札を渡されるので、番号が表示されるまで待ちます。自分の番号が表示されたら、支払いをしてレシートタイプのチケットをもらいます。
全席指定です。特に注文をつけなかったので勝手に振り分けられましたが、窓側や通路側などの希望を出すことも可能でしょう。
自販機で購入
近距離で空席があればもちろん当日でも買えます。チケット自販機は、改札入り口ではなく、チケットカウンターのとなりにあります。イメージとしてはJRでいうと改札から離れた、みどりの窓口のとなりに置かれている感じです。
- 言語を選択。マレー語、英語、中国語から選ぶ
- 目的地の地名をアルファベットで入力
- お金を入れる
- トークンと呼ばれるプラスチックコインを取る
これが切符になります。
ネットで買う
まず、マレーシア鉄道公社(KTM)のサイトにアクセスします。
- 画面右上のLogin/Sign upをクリックし、ユーザー登録を行う
- ログイン画面からRegister New Userをクリックしたら、必要事項を入力する
- 登録が完了したら、Click Hereからログイン画面に進む
駅名を指定する上で、クアラルンプールを選択する場合、上記で紹介したKLセントラル 「Sentral Kuala Lumpur」駅の他にクアラルンプール 「Kuala Lumpur」駅が出てきます。
このクアラルンプール駅はKLセントラルの隣の駅で、KLセントラルができる前まで中心駅でした。駅が異なる上、一部の列車しか停車しないので駅名を間違えないようにしましょう。
- マレーシア鉄道公社のチケット販売サイト:https://eticket.ktmb.com.my/
マレー鉄道KTM ETSの所要時間と料金
片道シルバーの各駅1本、ゴールドの快速7本
上記はKLセントラルとカンパー間の料金表になります。シルバーがMYR22(約572円)で2時間26分、ゴールドがMYR31(約806円)で2時間16分です。
シルバーと書かれていない電車はゴールドとなります。シルバーは始発と最終しかないので、電車に合わせてスケジュールを立てない限りはゴールドに乗ると思ってよいでしょう。
KLセントラルーイポー間はもう少しかかる
KLセントラルとイポー間は各駅停車のシルバーが14駅停車、所要時間2時間35分に対して、快速電車のゴールドは10駅、所要時間2時間20分です。
カンパーからイポーまではさらに2駅あるので、クアラルンプールのKLセントラルからの料金は少しあがります。各駅停車のシルバーがMYR25(約650円)、ゴールドがMYR35(約910円)です。
特急プラチナもある
さらに特急にあたるプラチナという電車もあります。これは私が降りたカンパー駅には停車しませんが、イポー駅は止まります。
ゴールドよりさらに停車駅が減り、KLセントラルとイポー間を2時間1分で走ります。料金は大人MYR46(約1,196円)です。
マレー鉄道KTMコミューター乗り場に行く
KTMコミューターとは
クアラルンプールとイポー間は、KTMコミューターという電車を利用します。KTMコミューターとは、クアラルンプール近郊と、ペナン島入り口にあたる都市バッタワース近郊での近距離電車運行サービスのことです。
発車近くに乗り場へ通過口へ
KLセントラル駅のチケットを購入した同じフロアに、KTMコミューターの乗り場があります。1時間に1本程度しかないので、電車の発車予定数分前にならないとチケット確認の乗務員もいません。
乗り場は2か所AとBがありますが、2つは向かい合わせなので事前にどちらか分からなくても待機場所に困りません。
係員にチケットを見せる
列車到着時間の少し前にチケットを確認する係員が来るので、電車に乗る人たちが集まってきます。チケット確認を終えて、初めて中に入れます。
全く駅関係者には見えませんが、上記写真の私服のヒジャブの女性2人がその係員です。
確認後にエスカレーターで下へ
自動改札はもとより、改札らしいものもありませんが、勝手に中には入れないようです。ホームはエスカレーターで1階下ったフロアです。
マレー鉄道KTMコミューターに乗る
電車の乗り口に乗務員が立っています。指定席なので、チケットを提示すると近い乗り口を指示してくれます。混み合っていなければあまりうるさくは言わないでしょうが、基本的には皆、チケットに書かれた席を確認して着席していました。
乗車中に1回はチケット確認の乗務員が来ます。
マレー鉄道KTMコミューターの中を紹介
日本の特急電車のような雰囲気で、頭上に荷物置き場があり、足置きもあります。
車内はエアコンがかなりきいているので、靴下や上着があるとよいです。特に長距離となるとかなり冷えるので、羽織れるものは必要です。中にはダウンジャケットを着ている人もいました。
電車内にはもちろんトイレも付いています。
食堂車
日本の電車と違うのは、食堂車が付いていることです。簡易カウンターなので、簡単なものですが、コーヒーやジュース、インスタントミー(麺)やローカルのお弁当、サンドイッチなどの軽食もあります。
席に持ち帰ってもいいのですが、私はこの車両のカウンターで外を見ながらコーヒーを飲むのが好きです。
都市を少し離れると、熱帯雨林の景色が広がってきます。景色を見ながらカウンター内の乗務員と話をするのも楽しいですよ。
プラチナの電車になると、ワゴンサービスがあります。
地方からクアラルンプール方面へのマレー鉄道KTMチケットを購入する
インターネットでの事前購入か、駅の窓口での購入になります。日にちと時間を指定してチケットを購入しますが、クアラルンプールに戻るチケットは事前購入がおすすめです。
どうしても当日になる場合は、午前中の早いうちに、一度チケットを買いに駅に出向くのがよいでしょう。
日程やルートをバスなどに変更できない場合は、前日までに予約しておくことをおすすめします。満席の場合にはチケットを発券してくれないので、電車に乗れません。
マレー鉄道KTMが混み合う時期とは
長距離電車なので混み合う時期は休みのシーズンになります。日本でいうと、年末年始、お盆休み、ゴールデンウィークなどですが、マレーシアではもちろん異なります。
チャイニーズニューイヤー
西マレーシアの西海岸沿いは、かつて労働力として中華系移民をたくさん受け入れました。そのため、他の地域に比べて中華系の人が多く住んでいます。国の祝日は2日間ですが、学校は2週間前後休みになるし、華人は最低1週間は休みます。
臨時列車も出るようですが、混み合うのは必至です。チャイニーズニューイヤーの後1カ月くらいまでは、乗車する場合は事前購入が必須です。
ハリラヤ・プアサ
イスラム教徒の断食明けのお祝いです。ここでも学校は連休になりますし、イスラム教徒の人たちも連休を取って帰省します。西海岸に華人が多いといっても、イスラム教徒がいないわけではないので、通常より混み合います。
スクールホリデー
ローカルの学校は、ターム(学期)の終わりにそれぞれ1週間程度の休みがあります。しかし、特に混み合うのは年度末の11月末から12月末の1カ月間です。
新年度が1月から始まるマレーシアでは、年度末の試験が終わるとほぼお休みです。11月20日前後から翌1月1日までがスクールホリデーとなり、ここでたくさんの人が帰省や旅行に出かけます。
新学期は1月2日からになりますが、学校に出てこない生徒も多く、時には学校に行っても先生が来ていないなんてこともあるそうです。新学期が始まり、1週間くらいたってから本格的に授業が再開するようなので、1月7日頃までは混みそうですね。
チャイニーズニューイヤーの日程
- 2019年2月5日(火)、6日(水)
- 2020年1月25日(土)、26日(日) ※27日(月)が振り替え休日になる可能性があります。
- 2021年2月12日(金)、13日(土)
ハリラヤ・プアサ
- 2019年6月4日(火)、5日(水)
- 2020年5月23日(土)、24日(日) ※25日(月)が振り替え休日になる可能性があります。
- 2021年5月12日(水)、13日(木)
まとめ
異国の電車は勝手が分からないと、きちんと目的地に着けるのか心配になります。特に東南アジアはどこの国も本数が少なく、利用したくても時間が合わないことが多いのですが、このESTはそんな心配をしなくても利用できます。
開拓された高速道路の景色よりも、生い茂った緑の木々や突如現れる民家などの発見があるので、機会があればぜひ乗車をおすすめします。