マレーシアは人口約3,100万人、東南アジアに位置します。クアラルンプールやジョホールバルといった大都会もあれば、ランカウイ島やティオマン島など人の手があまり入っていない島も多数存在します。
このマレーシア、実は年に何度も正月の来る国と言われていることをご存知でしたか?
マレーシアは多くの民族や部族で構成されている多民族国家。それぞれの言語や宗教や文化を守り大切にし、休日や祝祭日、正月もそれぞれの民族ごとに違います。
ここでは、マレーシアの三大民族といわれるマレー系・中華系・インド系、それぞれの正月についてお伝えできればと思います。
マレーシアのマレー系の正月
マレーシアで人口の約60%を占めるのが、最大民族のマレー系です。「マレーシア」という国名からもわかるように、マレーシアで一番の勢力を保っています。
マレー系は総じてイスラム教を信仰していますので、彼らが祝う正月は、1月1日ではなくイスラム歴に基づくイスラム正月です。
正月を迎える前に、ラマダンと呼ばれる断食を行います。一カ月に渡る断食を終えると、晴れて正月が訪れます。これをハリラヤプアサと言います。
このときには、新しい服を着て出かけたり、オープンハウスといって親戚友人や近所の人を招いて食事を振る舞ったりします。
ハリラヤプアサの日付は毎年異なり、2018年は6月15日と16日です。
マレーシアの中華系の正月
マレーシアで人口の約25%を占めるのが、その昔に中国の南部から移動してきた中国人の子孫たち、いわゆる中華系の人々です。
彼らは、マレーシアで生まれ育っているので、国籍はマレーシアですが、中国の文化や言語を守っている人が多くいます。そのため、彼らが祝うのは、旧中国歴を基にした中国正月。旧正月や春節と呼ばれています。
中華系正月、アルコールはマストアイテム
この時期になると、赤い飾りつけが街中や家の飾りに多く見られるようになります。また華僑は正月を迎える前に、大量の食糧やアルコールを購入する習慣があるため、あちこちでセールが行われます。
特に旧正月前セールは、一年で一番アルコールが安くなる時期。各店舗の前の道路に臨時テントを張り出してビールなどを売り出します。本当に車に乗りきるのだろうかと思えるくらいに大量買いする人がたくさんいるので、見ているだけで面白くなります。
旧正月の日付も毎年異なり、2018年は2月16日と17日です。
マレーシアのインド系の正月
マレーシアで人口の約7%を占めるのが、インドから移動してきた人たちの子孫たちです。印橋と呼ばれることもあります。彼らもやはりマレーシア国籍なのですが、インド(特にタミール地方)の文化や言語をしっかり守っています。
インド系正月、光の祭り
彼らの多くはヒンズー教徒なので、やはりヒンズー歴で正月を祝っています。この正月のことをディパバリといい、光の祭りという意味合いがあるそうです。
そのためかどうかはわかりませんが、ディパバリの前になると、キラキラ輝くインド系の服(サリーやパンジャビ)があちこちで売られます。
特に、ディパバリの前日(大晦日)になると、売りつくすために半額以下になることもあるので、購入を考えている人はこの時がおすすめです。
2018年11月6日が今年のディパバリです。
マレーシアの1月1日も正月
マイナー感たっぷり
この日もマレーシアでは「正月」という名の祭日になっています。しかし、どの民族の正月にも属していないため、あまり重要視されていません。ここ数年で花火を見かけることも多くなりましたが、やはりマイナー感は否めません。
しかも1月2日からは新年度(新学年)が始まるので、多くの家庭ではその準備で大忙しです。テレビやラジオでは必死に新年感をだそうとしていますが、あまり効果はないようです。
マレーシアの正月で注意すべき点
マレーシアのカレンダーでは、4つとも祭日になっていて、民族に関係なく仕事も学校も休みになります。ですが、自分の所属する民族の正月以外は、多くの人が無関心です。
マレー系の人にとっては、旧正月やディパバリはまったく重要ではなく、ただのお休みです。その逆も同じことが言えます。
だからといって、自分とは違う民族の正月を邪魔したりはしません。お互いに尊重しあっています。自分の権利を主張しすぎて関係が悪化するよりは、よっぽど良い方法だと思います。
日本人とってよくわからない点もありますが、できる範囲で尊重することが大事です。
まとめ〜どの正月を体験できる?旅前にチェックすると面白い
ボルネオ島側のマレーシアにもたくさんの民族が住んでいて、その中の一つイバン族にも独自の正月があると言われています。そうすると、正月は4回どころではなく、もっとたくさんあってもまったく不思議はありません。
各正月前になると、それぞれの民族が思い思いの準備を始めます。マレーシアへの旅行や滞在を考えている方は、その期間がどの正月にあたるのかをぜひ確認されてください。物の値段や道路や交通機関の混雑ぶりが大きく変わります。
多民族国家マレーシア、本当に面白い国だと思います。